犬との童話な毎日
きっと、その頃から女の子の格好に憧れていたんだろうな、と思う。
中学の三年生になった頃。
悠は突然、髪を伸ばし始めて、ますます可愛くなった。
クラスメイトにも恵まれて、孤立することなく、むしろ我がクラスのマスコットキャラ的な。
誰かに嫌な事を、たまには言われたりはしたみたいだけれど、どうにか上手くやっていたみたい。
「悠とはそういう話し、照れ臭くて出来る気がしないなー」
「それでも、一番に教えてよね」
日誌には音楽の先生が風邪引いた、とどうでも良い情報が書き記され、ぱたん、と閉じられた。
考えとく、と笑うと悠も花が咲くように笑った。