犬との童話な毎日
「……ってかさ。全部のアイスが売り切れるわけないじゃん」
冬馬くんって馬鹿なの?的なニュアンスを含めて悠が横目で高城を見る。
「俺は売り切れるくらい人気のが食べたいの!売れ残るようなのは興味ねー」
「売れ残って欲しいのか、売り切れて欲しいのか。どっちなの」
最早、溜め息混じり。
二人のやり取りを聞きながら、廊下に踏み出す一瞬。
壁に手を添えて、何となく教室を振り返る。
ちらほらと、生徒も残るそこには。
見慣れた茶色い毛玉の姿は無かった。