犬との童話な毎日
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その知らせは、昼過ぎに来た。
午後イチの授業。
眠たくて眠たくてしょうがない、数学の時間。
振動したスマホを、机の下でタップする。
≪産まれました!≫
きっと沙月ちゃんの旦那様が、代わりに送ってくれた文章。
その後に送られて来た写メを見て、眠気は完全に吹き飛んだ。
おくるみに包まれて眠っている赤ちゃんの画像。
ね!見て!
見て見て見て見て!!
嬉しさのあまり、足元に寝そべる黒曜にスマホの画面を向ける。
気付いてくれないから、足の爪先で床をとんとん、と軽く蹴る。