犬との童話な毎日

「放課後になったら、数学準備室まで取りに来い。それまで没収」

「ああっ、そんな!せめてもう一目!」

手の中から、すっと抜き取られたスマホに手を伸ばしたけれど。
先生の張り付いたような笑顔に、動きを止める。

うお、怖い!
この顔してる時は、目を合わせちゃ駄目な時!

「……なんでもありません。申し訳ございませんでした」

しおらしく頭を下げて、肩を落としてみせる。

「……八坂、お前今日は準備室の掃除をさせてやろうな」

「えーーーっ。無理ですって、今日は特に」

赤ちゃんに会いに行きたいんだよ。
産まれたてほやほやの。
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