犬との童話な毎日
さらりとした茶色い毛並み……じゃなかった、髪の毛。
すらりとした指先。
細身だけど、細すぎない背中。
漆黒の瞳は相変わらず。
あたしの隣に立っているのは、誰がどう見ても普通の男の子。
しかも顔は文句なしにカッコイイ。
でも、その中身はとんでもない奴なことは、あたししか知らない。
だからこそ、困るんだよね。
「あんたのその人間の時の姿って、他にもレパートリーってあるの?」
机の上のプリントに手を掛ける。
そう言えば先生に、三枚一組でプリントを綴っておいてくれって頼まれたんだっけ。
「それはどう言う意味で言っているんだ?」
き、と鳴る椅子に座って腕まくり。