犬との童話な毎日
黒曜の、呆れた声。
きっと、また小娘が変なことを言っている、って思ってるんだろうなぁ、と思いながら口を開く。
「だからさ、こういう顔になりたい、とか。足は長めで髪の毛はふさふさで、とか」
プリントを種類ごと、三つの山に分けて用意する。
「あんたの願望が実は練りこまれてるのかなー、と」
「別にどうなりたいも、こうなりたいも俺にはない」
その興味のなさそうな声に、整った横顔をちらり、と盗み見する。
何やら初めからそこに収まっていた本まで、並び替え始めたらしい黒曜。
「元々持っている姿だ。これ以外にはなりようがない」
ふーん、つまらない。
大人にも子供にもなれる、とか他にもバリエーションがあったら面白いのに。