犬との童話な毎日

あれ?そもそも、犬にもイケメンとかそういう概念は果たしてあるんだろうか。

「雌犬も選び放題だったりして」

プリントを手に取って仕分け始める。

「あ、これあんたの学年の課題みたい」

プリントには三年生と記載されていた。
ここぞとばかりに余計な仕事まで回してくれたらしい先生に、唇を尖らせた時。

ふ、と手元に影が落ちた。
あたしのものよりも大きな手が、机に乗せられて無意識に息を止めた。

すらりとして、綺麗な指。
白いシャツに包まれた腕を辿って見上げると。
黒曜があたしを見下ろしていて。

どきっとした。

「…………何?」

こいつ、悔しいくらい無駄に顔が良いな。
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