犬との童話な毎日
色々と考えたけど、結局最後に残ったのは。
これ、今誰か来たらマズイんじゃない?!
だった。
数学準備室と言う密室で、上級生と。
しかもこいつに憧れてる女子もたくさんいるのに、こいつと二人きりでいるところを見られたら。
しかも頰を引っ張られてる今の状態。
ヤバイ気がする。
そうこう考えている間にも、黒曜は指先を動かしてあたしの頰をぐにぐにしてるし。
しかも一見無表情に見えるけど、細められた目が少し楽しそう。
「ひょっと。は、はな、はなしてってば」
黒曜の手首を鷲掴むと、案外すんなりと離れる大きな手。