犬との童話な毎日
ぱっと両手で頰を押さえる。
「ちょ……痛いんだけど」
何すんのよ、勝手に触らないでよね。、
黒曜を睨むようにしてみたけど、奴はふん、と鼻を鳴らすだけ。
本棚の整理に戻る横顔が、憎たらしい。
何なんだよもー。
あたしの何が黒曜をイラつかせたのか、とかちょっとだけ気になるけど。
「手を動かせ。早く終わらせるんだろう?赤児を見にいかなくて良いのか?」
「……行きたいです」
まあ、いっか。
化け犬の考えてることは、きっとあたしには理解出来ない。
しかも見掛けと違って、お年寄りだしね。