犬との童話な毎日

ぱっと両手で頰を押さえる。

「ちょ……痛いんだけど」

何すんのよ、勝手に触らないでよね。、

黒曜を睨むようにしてみたけど、奴はふん、と鼻を鳴らすだけ。
本棚の整理に戻る横顔が、憎たらしい。

何なんだよもー。

あたしの何が黒曜をイラつかせたのか、とかちょっとだけ気になるけど。

「手を動かせ。早く終わらせるんだろう?赤児を見にいかなくて良いのか?」

「……行きたいです」

まあ、いっか。
化け犬の考えてることは、きっとあたしには理解出来ない。
しかも見掛けと違って、お年寄りだしね。
< 228 / 311 >

この作品をシェア

pagetop