犬との童話な毎日
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「んぎゃああぁぁぁぁーっ!!」
がばーっ。
勢い良く体を起こす。
ぜぇぜぇ、と肩を上下させながら見回せば、そこは見慣れたあたしの部屋だった。
『色気の欠片も無いな』
耳に響く音に、息を止めて。
あぁ、と深い溜息を吐いた。
夢じゃなかったんだ。
こっちこそ夢なら良かったのに。
あ、でもチェシャ猫みたいな不気味な犬も嫌だな。
『とっくに日は登った。
ほれ、何処かに出掛けようじゃないか』
ちらり、と目を向ければ茶色い毛並みが視界に飛び込む。
あぁ、見慣れない。
昨日、あたしが拾ったのは喋る犬でした。