犬との童話な毎日
あたしの、女子にしてはシンプルな部屋に大きな犬が居る。
しかもあたしの机の上にお利口にちょこん、とお座りして。
尻尾は何が楽しいのか、ふりふり左右に揺れて。
でもその尻尾は、ペン立ても、読みかけの漫画も、あたしの部屋の壁も。
いやぁ。
これは見事に、手品師も詐欺師も漫才師も真っ青の、擦り抜けテクニック。
そこまで考えて、あたしは頭を抱えてしまった。
『うん?頭など抱えて。
小娘、どうかしたか?』
「……なんか疲れてるみたい。
放って置いて下さい」
どうしようも無い程、阿呆な思考になってるみたいだから。
だって、犬のお化けだなんて。
しかも。