犬との童話な毎日

「代わりに出たのが俺のような妖精で良かったな」

「……え、待って。あたしからすると、どっちもどっちなんだけど」

化け犬もお化けも。

そうは言いながらも、今は特別怖くなんてないんだけどね。

黒曜がうちに来てから、何度も来たこの桜の木のある路地。
昼間ですらも閑静で、ほぼ人に出くわさない。
夜なんて尚更だ。

けれど、すごく落ち着く。

黒曜が一緒にいるからなのか、馴染み深い場所になってしまったからなのか。

しばらく二人で新緑の桜の木を見上げる。
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