犬との童話な毎日
空には薄い雲が掛かっていて、元々見えにくい星を隠している。
それでも雲の切れ間にちかちかと時たま見えるささやかな光り。
夜の空気が好きだ。
もちろん黒曜がうちに来るまでは夜に出歩くなんて滅多になかったけど。
夜に出掛けることがないわけじゃないけれど、用事もなくふらふらと夜道を歩くことはなかった。
目を閉じると、風に枝垂れた新緑が微かに鳴る音が聞こえる。
明日も学校だから、あまりゆっくり出来ないな。
ちゃんと人が入ってるみたいに毛布膨らんでるかな。
お母さんあたしの部屋に来ないよね。
どうでも良い考えが頭に浮かんでは消える。
そうしていると、ふと目を閉じた瞼の裏の闇が濃くなった気がした。