犬との童話な毎日
そう、あたしの拾った……。
と言うか、勝手に着いて来たのは犬のお化け。
いや、妖怪?
『いや、妖精だ』
「いやいやいや、そんなファンシーな存在じゃないでしょ」
あんた一体何なの?
と、部屋のカーテンを引きながらの問いに答えながら黒曜は、机からとん、と床に降り立った。
「ちょ……あんま近寄んないで」
茶色い毛並みから距離を取るように、壁に貼り付く。
「よりによって犬嫌いのあたしの部屋に住み着くなんて、ホント勘弁して欲しいんだけど」
出てってくれない?
昨日から何度目かのあたしの訴えにも、憎たらしい目の前の犬は鼻を鳴らすだけ。