犬との童話な毎日
高城から視線を戻すと、黒曜が今来たばかりの廊下の先の階段の方へ曲がったところだった。
……あたし、今日寝不足で。
中身化け犬なイケメンにファーストキスを奪われたことに苛々してて。
揚げたてのフライドポテトが食べたくて。
しかも午前中から。
黒曜の突然どこか行っちゃうのも、意味不明なのも。
何してんだか分からないのも。
あたしの傍からいなくなるのも。
……いつも通りなのに。
なのになんで……。
「ごめん、ちょっと用事思い出した!今日は二人で行ってくんない?」
追いかけようとしてるんだろう。