犬との童話な毎日
スクバが肩から落ちないように、ぎゅ、と力を込めて。
二人に背を向けて走り出す。
背後で、はあ?と高城。
えー、と不満そうなのは悠。
階段の方は死角だ。
急いで行かないと見失っちゃう。
黒曜が行ったのは上?下?
「六花ぁ!本当に行かないのーっ?」
「本当ごめーん、お土産よろしくっ」
「アホか。ねーわ」
顔だけ振り向かせて、片手をばいばい、とひらひらさせる。
好奇心。
そう、ただの好奇心。
あの謎の多い妖怪がどこに向かったのか。
少しだけ覗いてみたいだけ。