犬との童話な毎日
黒曜の真横に陣取って、ひんやりとしたコンクリートを両手で掴む。
子犬との間に障害物を隔てたところで、しげしげと観察をすると。
白い毛に右耳のところだけ黒い、まあ世間一般的には可愛い部類の子犬だった。
でも、その口に咥えているのって……。
「……あれって、ぬいぐるみ?」
『いや、生きてる犬だが』
「……あんたでも冗談言うんだね」
目の前の黒曜を横目で見ながら、子犬を刺激しないように囁く。
ふん、と目を細め、顔を背けるその仕草はご機嫌ナナメなのをアピールしているように見える。
でも今それどころじゃない。
中腰でコンクリートから顔を覗かせて、子犬を窺っていると。
体育館からクラスメイトが出てきて、驚かれた。