犬との童話な毎日

で、出掛けたいのね?!

窓を振り仰いで空を見る犬に、思わず全力で退出を勧める。

「どうぞご自由にっ。
ほらほら、窓からでも扉からでも壁からでも、何なら瞬間移動でも!!」
『何を言っているのか理解し難いが、俺はお前に憑いているのだ。
小娘が出掛けなければ、俺も他所に行かれないじゃないか』
「……」

ツ、ツイテルって……。
着いてる、の方……だよね?
まさか憑いてる、の方じゃないよね?

頭を過ぎった不吉な考えに、ぞわり、背筋に悪寒が走る、

『小娘、受け入れろ。
お前は俺の存在を知ってしまった。
今更無かった事になどならない』
「そ、そんなぁ……」

あたしは知りたく無かったのに……。


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