犬との童話な毎日
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「ねぇ、何なの?どういう訳?」
腕組みをして、目の前の茶色い毛玉を睨む。
苛立ちを抑えようとも隠そうともしないあたしに気付かないはずは無いのに、窓枠に座って夜空を仰ぐ黒曜。
もちろん、その身体は窓ガラスを突き抜けている。
「ねぇ、ちょっと聞いてんの?」
『いや、聞いてない』
「はぁ?!あんたねぇ、人の話はちゃんと聞きなさいよ。あーーっ!!腹立つっ」
はっきりきっぱり、嫌な事を即答されて、思わず子供の様に机に拳を打ち付ける。
その衝撃は机上に広げられた歴史の教科書とノートを揺らがせた。
『うるさい、家の者に気付かれるぞ』
「……うるさいな。あー、痛いっ、腹立つっ」