犬との童話な毎日
黒曜の最もな指摘にも、苛立ちは募るだけ。
唇を尖らせながら、手元の教科書とノートに目を落とす。
昼間、散々なテスト結果だったあたしは。
笠井先生いわく、大変有り難い宿題、を出された。
今日出されたテスト用紙への正しい解答、及び補助的な書き込み。
知るかっつーの。
歴史も現代社会も地理も苦手なのに。
こんなのやりたくないっつーの。
「あ」
やば、と思った時にはもう遅い。
目の前にはゆっくりと二個、三個。
紙を逃れて、空中に移動していく文字達。
「わ、わ、わ、待って待ってーっ」
反射的に手で押さえてみるけれど、文字達はするすると擦り抜けて立ち昇って行く。
『小娘、それはわざとか?面白いな』