犬との童話な毎日
狭い窓枠に大きい体でお座りした犬が、顔だけ振り向く。
その声に含まれたのは、呆れたような響き。
「……うるさいなぁ。って言うか、この変な現象もあんたのせいでしょ。何とかしてよ」
そして、出て行ってよ。
一番言いたい言葉は、飲み込んだ。
そんな事、この得体の知れない化け犬になんて、怖くてやっぱり言えない。
黒曜はつまらなそうに、また夜空に顔を戻した。
『何故俺のせいなんだ、自分のせいだと言ったろうが』
「絶対あんたのせいだもん。だってあんたが来るまではこんな怪奇現象起きた事無かったんだからねっ」
目の前、揺れてる文字や数字達に、ぶんぶん腕を振りながら指差す。
虫だか、アザなんとかだか知らないけど、勘弁してよ!!