犬との童話な毎日

『お前が字虫を呼んだんだ。字虫はお前の願いを叶えただけだ』

「そ、そんなの今までだって、テストとか勉強とか宿題とか、この世から消えて、なんて数え切れない程考えた事あるっつーのっ。点数の低かった答案用紙なんて、燃えろまで思ったわっ。それでもホントに消えた事も、燃えた事も今まで無かったのっ」

力一杯訴えても。

『小娘、情けない事をそんなに大きな声で言うな』

黒曜と言えば、諭す様な声で尻尾を一振り。
しかもあたしの求めた返答じゃないし。

「う、うるさいっ。混ぜっ返すのやめてよっ」

夜の窓辺に座る、黒曜の静かな背中に吠える。
そんなあたしは認めたくは無いけど、仔犬の様だ。
冷静な大型犬に、むやみやたらと吠え掛かる仔犬。
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