犬との童話な毎日
3分咲き
***
土曜日の午後15時。
学校が休みの日。
産婦人科の面会時間を待ってから入った病室は、5日前とは様子が違かった。
後ろの閉められたカーテンを振り返りながら、手は目の前の白いカーテンをしゃーっ、と開ける。
「沙月ちゃん、開けていい?
元気してるー?」
カーテンの向こう側から現れたベッドの住人が、苦笑いを浮かべた。
「ちょっとりっちゃん。
開けていい?って言いながら、もう開けてるじゃない。
他の患者さんのベッドだったらどうするのよ」
「あはは、ごめんごめん」
沙月ちゃんの言葉に笑いながら、もう一度カーテンを閉めて、見舞い客用に置いてある椅子に腰掛けた。
沙月ちゃんは仕方ないなぁ、と笑いながら、手にしていた単行本を枕元に置いた。