犬との童話な毎日
前に来た時とは違って、モニターは付けられていないみたいだった。
少しは落ち着いたのかな。
ただ、反対側のベッドから以前聞いた様な機械音がする。
「他の妊婦さんも入ったんだね」
そう、以前は4個あったベッドも、沙月ちゃんのベッド以外空いていて、大部屋なのに個室状態だった。
声を潜めて尋ねたあたしに、沙月ちゃんも声を潜める。
「うん、お隣さんは切迫流産らしいからあたし以上に絶対安静なんだけどね」
赤ちゃん、お空に帰りかけちゃったんだね。
この時は何となくしか思わなかった。
大変だなぁ、って。
だってあたしはまだ高校入ったばかりだし、赤ちゃんなんてリアルには考えられないから。