犬との童話な毎日

あたしの苛立ちに気付いて居ないかの様に笑う悠の目は、確かにあたしより大きい。
メイクを差し引いても。

「売ってないから。六花(りつか)怖いし。で、何でご機嫌ナナメってるの?」
「悠の存在がいつもいつもあたしを何割か増しで不細工に見せてるんだよ。あたしの隣りだとあんたの可愛さが、より一層引き立つだろうし…。あー、無性に腹立つっ」
「うわー、めっちゃ理不尽ー。
めっちゃ荒んでるー」

さっきと同じ事を、今度は強調して言う。

あたしの八つ当たりにも悠は怒らない。
付き合いが長過ぎてあたしの扱い方を良く知ってるんだ。
どうすればあたしの機嫌が早く治るのか知ってるから。
いつも受け流してくれる。


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