犬との童話な毎日
早いじゃない、と言われて思わずスカートのポケットの中にあるスマホを取り出して時間の確認。
……待ち合わせの時間から10分近く過ぎてんじゃんか。
「そうやって誤魔化しても駄目だよ。
お母さんが遅いんだってば」
「あははごめんごめん、気付いたら昼寝してた」
あはは、じゃないよ全く。
何時もよりも少しだけ小綺麗な格好をしたお母さんを、呆れた顔で見る。
そのままガサガサと聞こえる音の元を見下ろせば、お母さんの右手にはスーパーの袋。