犬との童話な毎日
何か他にもぐちゃぐちゃカーテンの向こう側で言っていたけど、頭に入って来なかった。
静かに立ち上がったお母さんに嫌な予感。
黒曜がその気配に振り返る。
その黒い目がきらん、と光った様な気がした。
あんた、お、面白がってない?
「ちょっ、何するの?
やめてよ?落ち着いて」
慌ててお母さんの洋服を掴んで小声で言ってみたけれど。
あぁ、やっぱり。
お母さんがしゃー、とカーテンを開け放して、舌打ち。
もう一枚、隣のベッドのカーテンがあったことに苛ついた様だった。
意外とうちのお母さん、お上品なタイプでは無いのだ。
「失礼しますねー」
今度こそは、と力いっぱい引いたカーテンが揺れて黒曜の体にかかる。
もちろん擦り抜けて行ったけれど。