バカ彼氏
「二人の彼氏ってさぁー、

 いつも右側と左側、

 どっちにいる?」

語尾を伸ばしぎみに

真希はそう言った。

「当然左側っ!!」

桜子は胸を張って答える。

右側と左側ってなんか意味あんのかな。

「右側と左側って
 
 なんかあったっけ?」

思ったことをそのまま口に出すと、真希はニッコリ眩しい笑顔で


「さぁー?

 まぁいいから答えなって」

と言った。

うーん、どっちだっけなぁ。

左側に居ることが多かったような。

右側にいることが多かったような。

「どっちも同じくらいかな」

私がそう言うと、

桜子はクールな顔に似合わず口を尖らせ、

「えぇーなにそれぇぇ」

と不満げに言った。

「いや何でだし。
 
 てかこれなんの質問?」

「もうっ、麻耶は鈍いなぁ」

桜子はそう言うけど、

多分私よりアイツの方がずっと鈍い。
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