お蔵入り書庫
 
『——以上で、今日の「お昼の放送」はおしまいでーす。火曜日の担当は、2年3組、周藤成都でした』


 フェードアウトしていく音楽が完全に聞こえなくなると、教室は一層騒がしさを増す。

 クラスのみんなが成都の放送を聞いている証拠だ。


「なっちゃんて、結構嫉妬深いっていうか、独占欲強いのね。あたし知らなかった」

「俺だって知らなかったよ」


 そう。

 今まで気付かなかったのが不思議なくらい、成都は嫉妬深い。

 クラスの女子と話していれば必ず割り込んで来るし、部の後輩(女子)に呼ばれて話していても、成都は俺の近くに寄ってくる。

 そして、何食わぬ顔で言うのだ。


『何の話してるの?』


 キラキラした笑顔で。

 透き通った声で。


 後輩が成都のファンだと知ってからは、もう遠慮なんて無い。

 成都を見て頬を赤らめる後輩達に、俺が逆に嫉妬してしまいそうだ。

 それでも。

 俺を見上げる成都の目が、俺だけに向けられる特別なものだと気付いてからは──


「ちょっと、何1人でニヤニヤしてるのよ」

「……何でもない」


 成都が純粋に嫉妬しているのが分かってからは、そんな成都が可愛くて仕方がない……とか思ってしまう俺は既に終わっているのだろうか。
 
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