ふくれっつらな俺のプリンセス


俺がまだ幼稚園に通っている頃

お遊戯会で劇の主役をすることになり、めちゃくちゃ張り切って練習した。

珍しく母が見に来てくれると言っていたから

でも当日に急な会議が入りどうしても大学を抜け出せなかった母はお遊戯会に来てはくれなかった……

俺は練習通りにただ淡々と演技をする。

先生方や友達の親たちは俺の演技を絶賛したけれど

そんなことは、もうどうでもよかった。

お遊戯会の後……

小原のおじさんと優子さんそして舞衣の4人で一緒に帰ることになる。

いつもなら小原家でゆっくり遊んで帰るところを俺は自宅に帰ると言い張った

普段と様子の違う俺を心配した優子さんが俺の後を付いて来る。

そして一緒に家の中に入ってきた優子さん

でも優子さんの方から何か話し掛けられることは無くて……

俺が話し始めるのを待っているみたいな気がしたんだ。

ソファーに膝を抱えたまま座り頭を項垂れて話し始める俺

「俺は……母さんと父さんには必要のない人間みたいだ……」

この家に居ると自分が間違って迷い込んだ、

必要の無い子供みたいに感じていたから……



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