ふくれっつらな俺のプリンセス
夢から醒めて…
『…好きよ、ジョイ君』
金髪・碧眼(へきがん)・長身で足長のニヤけた野郎にうっとりとした表情で、
舞衣は俺が一番欲しい言葉を事も無げに囁く。
そいつはまるでペッタリと貼り付くかのように舞衣の肩に腕を回し強く抱き寄せる。
完全に『二人の世界』に突入したのか?
はたまた二人をシールドが覆っているのか?
微笑みを交わし合いながら俺の前を悠然と通り過ぎて行く…
「何なんだよ、アイツは…」
『ジョイ』なんて名前、食器洗い洗剤と一緒じゃね?
いっその事、洗剤ボトルの着ぐるみでも着てろよ!
「舞衣行くな…俺じゃダメなのか?」
どこかで、これは夢なんだと分かってる自分が居る。
そうでなければ…
本当の気持ちなんて口に出来る筈が無いからだ。
「…舞衣…まい……ま……い……」
伸ばした手は宙を掴み悲しみと虚しさで苦しくて胸が張り裂けそうだ…