ふくれっつらな俺のプリンセス


「学君、顔を上げて」あかりさんの優しい声が俺に降り注ぐ。

ただ俯いてばかりも居られないと腹を括り

現実と直面しようと決心して顔を上げたまでは良かったけれど…

何も言葉に出来ないままで…

彼女の顔をジッと見つめ返すのがやっとの事だった。

「ねぇ、学君の記憶はどこら辺まであるの?」

あかりさんは緊張している俺とは対照的にかなりリラックスして様子で俺に話し掛けてくる。

俺が覚えているのは…

「…居酒屋であかりさんと話をしている辺りから…もう記憶は曖昧です」

俺は弱々しくも正直な言葉を口にする。




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