ふくれっつらな俺のプリンセス
*****
あかりさんのムンクの叫びのモノマネを見ていたら、俺たちの席に一人の女性が近寄って来た。
「もう…あかり、酷いよ…何が『期待してて』よ、めちゃくちゃ変な人たちじゃない
イケメンは二人しか居ないし…
幹事の彼は掴み何処なくてどんな話題を振っても煙に巻くし、もう一人はあかりが独占してる」
ぷっと頬を膨らませて拗ねる仕草はどうすれば自分が可愛く見えるのかが良く分かっていて、
計算の上でやってることがまる分かり…俺が最も苦手とするタイプの女だ。
絶対にお近付きになりたくない人だなとマジで思ったし、
今…俺の頭の中を占めているのはアメリカに居る舞衣の事だけだから
いつも以上に不愛想に映っていたかも知れない。
そんな状況の中、蓮兄の被害者とも言えるあかりさんは
「百花(ももか)ごめんね…だけど、この場所でするのは失礼な内容でしょ?」
あかりさんは申し訳なさそうに、でも言うべき事はしっかりと話し百花という女性を宥めすかしている。
俺は会話には全く加わらず、空きっ腹にも関わらず、
手酌で飲み慣れない日本酒を黙々と煽るように飲んでいた。