ふくれっつらな俺のプリンセス
夜明けのハーブティー
*****
俺が曖昧ながらも覚えているのはタクシーに乗り込むまでの出来事
その後の事は…全くもって記憶に無い。
「あれだけ空きっ腹に飲んだんだもの、記憶が飛ぶのも無理ないから
気にしないの…
結論から言うと…学君と一線は越えてないわよ
学君、頭痛相当辛いんじゃない?
気分は悪くない?
少しは落ち着いた?
これ飲んだら痛みも和らぐはずだからゆっくり飲んで…」
努めて明るく話し掛けて俺の体を気遣う事を忘れない彼女は、
鎮痛剤と温かいハーブティーを手渡してくれてから自分も飲みながら話を続ける。
「百花を牽制するつもりで学君の舞衣ちゃんへの想いを勝手に話して
悪いことしたなって反省してるのよ
…私もね
ずっと一人の人を想い続けてるの…
百花の言葉を借りると私も『ヘビー級に重暗い人』ってことね
正直しんどいし、報われない想いから『解放してよ』って叫びだしたくもなる
でも理屈じゃないからどうしようもなくて気持ちが行ったり来たり、
うろうろ…おろおろしてんのカッコ悪いでしょ?」