人気女優がタイムスリップ!? ~芸能界⇒島原⇒新選組~
「すみませ~ん。」


「はい、は~い。」


私は今、洗濯物で忙しい乙葉ちゃんの代わりに芹沢さんって人のお酒をまた買いに来ていた。


「また、お酒を買いに来たのかい?
あんまり飲むと体に良くないよ。」


「私が飲むんじゃありませんよ!
私も、来なくていいならこんなところなんかにきたくありませんよ。」


ここから屯所は結構近いけど、また飛鳥さんとかみ合わない会話にイライラしながら世間話をすると思うと、気が重くなる。


なら、世間話なんかしないでお酒を買ってさっさと帰ればいいじゃん。とか思うでしょ?


世の中はそんなに甘くないんだぜ。フッ。


………だって、飛鳥さんからどんどん話を振って来て、返事をしないとお酒を売ってくれないんだもん!!(本音)


ここ以外の酒屋なんて知らないし、なるべく早く帰らないと乙葉ちゃんが心配するし。


「彰って、どこで働いているの?」


「詳しいことは内緒です。
だけど、あえて言うなら女中として働いてます。」


詳しいことを言えないのは、浪士組って一部の京の人たちに揶揄(やゆ:からかうこと。なぶること。)されているらしいし……


これは土方さんが言っていたことなんだけど、浪士組で働いていることがほかの人に知られると、店の商品を売ってくれなくなる可能性があるから、浪士組で働いていることを簡単にばらすなって。


別に売ってくれなくても、店の前で暴れて無理やり売らせることもできるんだけど……


私は、たまに見せる土方さんの優しさに甘えて浪士組で働いていることは内緒にしていたいと思います。


「ふ~ん……
ま、いいや。また今度教えてよ。」


「……飛鳥さん、私の話聞いてました?
詳しいことは内緒ですって、言いましたよね。」


「君って友達いる?」


「……………」


察してください。私のこの沈黙を………
この、急に話をがらりと変えられた後のイラツキを………


「いますよ、乙葉ちゃんっていう可愛い子が一人。」
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