人気女優がタイムスリップ!? ~芸能界⇒島原⇒新選組~
「乙葉ちゃん!?……起きてたんだ。」


乙葉ちゃんは、正座をして座っている私の胸に飛び込むように抱き着いてきて、泣き顔を隠すためなのか力一杯頭を押し付けて泣いている。


「っく……ひっく……」


「よーし、よし。」


プライドから来ているのか、声を押し殺して肩を震わせ泣いている乙葉ちゃんを、前にTVでみたお母さんが泣いている赤ちゃんにするように頭を撫でている私。


「もう大丈夫だよ。」


いつから私の話を聞いていたのか分からないけど、怖かったんだと思う。


この出来事がきっかけで、純粋無垢な乙葉ちゃんが変わってしまうんじゃないか。


そう思った私だったけど、こんなに涙が出るなら大丈夫。


「涙が出るときに、思いっきり泣いておいた方がいいよ。」


「うっ、うん……」


私の胸の中で小さく頷いた乙葉ちゃんの反応を確認した後、離れたところにいる飛鳥さんへと視線を向けた。


「飛鳥さん。
こんなに涙を流している乙葉ちゃんを見て、謝ろうともしない貴方なら私は貴方を一生許しません。」


これ以上乙葉ちゃんにこの時代の黒い部分を見せたくない。その思いが私の中にあるのは確かだ。


“謝って許されるならこの世に警察はいらない”まさにその通りだと思う。


だけど、本当は飛鳥さんを許したくない。これが本音でもある。


この二つの思いが今、私の中を渦巻いていて。私の胸で泣いている乙葉ちゃんを見ていて。


暴力的解決というけれど、私はそれでは何も解決しないと思う。


かといって、だらだらと意味のな話し合いですべてが解決するとも思わない。


前者でも後者でも結局誰かの心に不満が残るのは、前者後者のどちらかの選択しかできない。


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