人気女優がタイムスリップ!? ~芸能界⇒島原⇒新選組~
「この通り。
今回のことは謝るよ、関係ない君を巻き込んでしまったことを。」


最初は感じが悪くて、ただいけ好かないだけの人だけだと思ってた。


「ほら!
お前達もあやまって。」


短い間だったけど飛鳥さんと接してきて感じ、気付いたことがある。他の人からしたら些細なことなのかもしれない。


「この通り、こいつらも反省しているみたいだし許してくれるかな?」


「おい飛鳥!
お前がこいつらに無理やりこんなことさせたんだろ。」


だから、だからそんな些細なことでも気付けてうれしかった。


「うるさいね、君は。
あいつ等も最初はなんだかんだ言ってたけど、最終的には嬉しそうにしてたし。」


飛鳥さんは優しいんだと思う。


それはほんの一瞬、瞬きをする時の様にほんの一瞬。錯覚なのかもしれないと感じるような短さだった。


確信はない、私の気のせいかもしれない。


錯覚でもいい、幻でもいい。だけど、その一瞬の間だけでも飛鳥さんの優しさを感じたのは事実。


だからと言って飛鳥さんのすべてを信じたわけでもない。けれど、その事実を胸の隅にとどめておくことは私にだってできるんだ。


「プッ………あはははははは!!」


すると突然、鼻声が混じったような笑い声が聞こえてきた。


驚いたけど、さっきまで泣いていたのが嘘のように気持ちがよさそうに笑っている乙葉ちゃんを見ていると、何だか私の心に安心感が生まれてきて。


また乙葉ちゃんの笑顔が見れてよかったな、そう思うと自然と顔の頬が緩むのが自分でも分かった。


「も、もういいですよ……」


笑ったときに出た涙なのか、私の胸で泣いていたときにだしていた涙なのか。


乙葉ちゃんは人差し指でそれをぬぐって、まだ収まらないんだろう笑いを含みながらながら口を開いた。


「みなさん謝ってくれたし。
それに、背中を打ったときは痛かったけどそれ以外は何もされてないし。」


「えっ?………そうなんだ!!」
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