人気女優がタイムスリップ!? ~芸能界⇒島原⇒新選組~

一難去ってまた一難

満月の夜からずっと気になていたけれど、機会に巡り逢えず先延ばしになっていた一つの疑問。それは………


「悠斗って混血の鬼なの?」


回りくどい言い方はあまり好きじゃない。だからこの際はっきり言ってしまおう。


物心ついた時から一緒にいる、幼馴染という関係の私たち二人に今更遠慮も何もあったもんじゃない。


だけど、はっきり言い過ぎたかな?


そう、いまさらになって後悔したのは遅すぎたというものでしょうか?


「…………?」


「…………」


たぶん、今私の顔は“しまった”という表情になっているのが私自身でも分かる。


頭に疑問符を乗せて首をかしげている悠斗は、何を思っているのか。


えっ……? 何?
こんな質問した私が悪いの?


しまったと思う気持ちの中で、少し焦りが生じた感は居た堪れないよね。うん。


だってさ、当然の疑問だと思うよ。
あの夜まで、私が鬼だと判明した日からずっと悠斗と翔は人間だと思ってて。


当然、お別れする日も来ると思ってて。私だけ歳とらない言い訳をどうしようかとうんうん考えてたのによ?


その二人が鬼だと知ってしまって。うれしいのやら複雑な心境ったらないよ?


もう一度戻ります。


「悠斗は混血の鬼で間違えないよね?」


「なにをいまさら。
………もしかして知らなかったのか?」


少しの沈黙の後、もしかしてという様に口を開いた悠斗の口から発せられた言葉は、私の背中に冷や汗をつたわせるものだった。


もしかしてさ………
これってさ………


「もしかして、知らなかったのって私だけ?………だよね。」


恐る恐る聞いてみたのは、今まで自分の中で繰り広げられてきた色々な感情の格闘が無意味なものだったと事実をつきうけられたくなかったため。


だけど、いくら現実逃避したところで結果は悠然と突きつけられるわけで。
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