人気女優がタイムスリップ!? ~芸能界⇒島原⇒新選組~
「情けないよな…
自分のしたことに後悔して、最後には他人に頼って…
これじゃ彰に憎まれて当然だ。」

「もう、もういいんだよ…
あんたは十分に苦しんだ、それだけでいいんだよ。」

「だけど、だけどそれじゃ!!」

「私があんたに襲われた時、私の過去をあんたに話した後私が何て言ったか覚えてる?」


悔しさで、痛みも忘れるほど拳を握りしめていた俺に彰はそう言った。


「『別に、悲劇のヒロイン気取って引きずるつもりまないけど、忘れるつもりもない。』
確か私はそう言ったはずだよ。
あの時は、悔しくてあんな言い方しかできなかったけど、私が言いたかったのはこうなんだよ、----」



サァァ…



その時、
風に乗って桜の花びらが舞い込んだ。


今まで雲に隠れていた月が、開いていた窓から差し込み彰の顔を照らした…


風の音に遮られ、彰の声は小さくなっていたが俺の耳には確かに届いていた…


『私は過去を引きずるつもりもない、だけど忘れるとつもりもない』

そう確かに俺の耳には届いていた…


俺は彰のその優しさに、
自分のことよりも他人を思いやるそのきれいで真っ白な心に恋をしてるんだ、そう改めて実感した。

俺は、心のどこかで思っていたのかもしれない…
彰なら許してくれると。


「こんなこと思っちゃいけないのにな…
今思い出したよ、俺は最初彰のそのきれいな心と瞳を守ってやりたかった。
なのに本当に馬鹿だよな、俺は…」


「翔はバカじゃないよ…
私を守ろうとしてくれたんだよね、私を傷つけたくくなかったんだよね、
ただそれが行きすぎちゃっただけの話。
ありがとうね。」


俺は、泣いてしまった。

泣きたいのは彰のはずなのに。

また、翔と呼んでくれたうれしさと、自分の馬鹿さ加減にあきれて




また泣いてしまった…




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