人気女優がタイムスリップ!? ~芸能界⇒島原⇒新選組~
私と土方さんは、屯所までの道のりを他愛無い話をしながら歩いていた。


『私が、一方的に話題を振ってただけだけど……』


私はふと疑問に思ったことを聞いてみる。


「そういえば、美千代さんは姪っ子さんですよね?御兄弟な何人いるんですか?」


「あぁ、確か……」


ピタッ…


すると、土方さんは急に話をやめて止まる。


「土方さん?
どうしたんですか……」


最初は土方さんの行動に疑問を持った私も、十数人の気配に囲まれていることに気付いた。


「………!!
…囲まれてますね。」


「一ノ瀬も気づいたか。
13……いや、15人だな。一ノ瀬。お前は……」


ザザザッ……


土方さんはおそらく、
『一ノ瀬、お前は下がってろ。』と言いたかったのだろう。


だけど、そう言われる前に今まで物陰に隠れていた(おそらく)浪士達が一斉にでて来る。


「壬生浪士組副長の土方歳三だな!!未来のためにその首頂戴する!!」


『ウオォォォ!!』


そうやって、悲鳴にも似た雄たけびをあげながら一斉に襲い掛かってくる浪士達。


ここは人気のない奥の路地裏なので運がいいのか悪いのか、その声でも人は駆けつけてこない。


土方さんは腰に差していた刀を抜刀して、相手に軽い一撃をくらわせて捕まえようと相手を切り伏せる。


私も、足手まといにならないように柔術の構えをしながら、土方さんの言う通り安全な場所へと移動していく。


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