本当の君を
授業中、隣の席の内藤雅紀と後ろの優介は爆睡。
福井とその後ろの福田智樹は喋り続けている。
中野は二人に話を振られてかなり迷惑そうだ。
笑ってるように見えて、笑ってない。
目が笑ってなさすぎる。かなりあからさまなのによく二人は気づかないものだ。
「……中野、」
「…ん?」
「ここ、もうやった?」
「あー…っと、」
パラパラと俺の示したページを開く。
「やってー……る、」
「見せて」
「ん」
さっきとは違い、少し穏やかな微笑みだった気がした。
目に少し光があったように見えた。
「中野ー、」
「何?」
内藤…こいついつの間に起きたんだ。
「数学の宿題見せて。」
今は1限の英語。数学は2限目だ。
「えー………はい。」
「ありがと。」
頼まれると断らないタイプの中野。
福井や福田と話す時より、内藤との時の方が気を許していると言うか、表情が分かりやすい。
…………なんで俺、こんなに中野が気になるんだ?
それに、一瞬しか見てないのになんでこんなに……
訳分かんね。
さっき既に終わってるのに助け舟の様な感じで話しかけて借りたノートを写しているフリをしてその時間を過ごした。
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