雪ノ空【完】
「ふー、サッパリした!風呂上がったぞ!」
「あ、飲み物用意してない…。ごめん、麦茶いれてくるわ!」
俺は小走りで麦茶をいれに行った。
「ふう、はい麦茶」
「あはは、あんがとなー!」
「そういえばさ、トラは好きな人いないの?」
「…………いるよ」
悲しそうに笑いながらいうトラ。
こんな姿は初めてだ。
「付き合ってるの?」
「いんや、付き合ってない。相手には恋人が居てさ。でも、いっつも辛そうなんだよなー…」
「そっか……。その子、恋人とうまくいってないんだ?」
「みててわかるぐらいに。泣いたりするくせに別れないんだよな」
「健気だね、その子」
「ああ、苦しいぐらいに」
また悲しそうに笑うトラ。
「そんな顔しないでよ…。ほら、トラは笑ってよ!」
「だなっ!あ、何する?」
「んじゃさ、映画見よ?トラが見たがってた映画借りたんだ」
「お、まじ!?みる!」