風の詩ーー君に届け
自分で自分の限界を思い知らされた――ような気分だ。
もう飛べない。
お前はどこへも飛べない
才能とか運命とか、希望とか―――そんな言葉が遠く感じらる。
「選択肢はない」
そう告げた、主治医の言葉が情け容赦なく、胸を抉る。
涙さえも出ない。
主治医の説明を聞く隣で声を殺し、涙を抑える母を僕は慰めることも気遣うこともできなかった。
「貴方はローレライよ」
叫んだ妹尾さんの言葉。
ああ、そうだ。
僕はローレライに魅入られてしまったんだ。
そう思った。
何もかも忘れるくらいにヴァイオリンを弾きたい。
何も考えられないほどヴァイオリンを弾いていたい。
そう、思っていた。
もう飛べない。
お前はどこへも飛べない
才能とか運命とか、希望とか―――そんな言葉が遠く感じらる。
「選択肢はない」
そう告げた、主治医の言葉が情け容赦なく、胸を抉る。
涙さえも出ない。
主治医の説明を聞く隣で声を殺し、涙を抑える母を僕は慰めることも気遣うこともできなかった。
「貴方はローレライよ」
叫んだ妹尾さんの言葉。
ああ、そうだ。
僕はローレライに魅入られてしまったんだ。
そう思った。
何もかも忘れるくらいにヴァイオリンを弾きたい。
何も考えられないほどヴァイオリンを弾いていたい。
そう、思っていた。