風の詩ーー君に届け
「周桜を見てるとオルフェウスを思い出して。

郁子が、エウリュディケに思えてくるんだ。

あっ、周桜曰く『額田姫王』だったかな」




「貢~。

お前はまた、そういう訳のわからないことを……。

お前と話していると、こっちまでおかしくなりそうだ。


だいたい、お前がいつも郁子にくっついているから、詩月があんなこと言うんだ」


「オルフェウスとかエウリュディケとか、額田姫王とか、何の話!?」


郁子が目を丸くし、叫ぶように言う。


安坂と理久は2人揃って郁子を見て、大きな溜め息をつく。


「……本当、似た者同士」


安坂が郁子を見ながら、ゆっくり口角を上げる。



理久は大袈裟に
「Oh! Jesus」と呟いた。


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