風の詩ーー君に届け
9章/ローレライ
詩月の家の2階には1室、広い書斎がある。


幾つもの書棚。
音楽の専門誌と楽譜が棚いっぱいに並んでいる。



殆どが詩月の父親、周桜宗月のコレクションだ。



膨大な楽譜の中には、有名作曲家の売れない頃の原稿もあると、詩月は聞いたことがある。



オークションに出せば、それこそ莫大な値がつくような楽譜もあると……。




大学入試のピアノ実技の演奏に、詩月が弾いた曲「ラ·カンパネラ」の楽譜も実は書斎に並べられた父親のコレクションの1つだった。




リスト作曲『パガニーニによる超絶技巧練習曲』第3番変イ短調。


ラ·カンパネラは、リストのピアノ曲だ。



パガニーニのヴァイオリン協奏曲第2番第3楽章のロンド『ラ·カンパネラ』の主題を編曲して書かれた作品。




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