風の詩ーー君に届け
――何を弾けばいいんだ!?




詩月は単刀直入に訊ねる。



――えっ!?




――説得できなかったら、コンサートも没になるんだろ!?

うだうだやってる時間がもったいない。

その場しのぎで乗り切れるなら、とっとと決断した方が賢明だ。

何を弾けば……何分演奏すればいいんだ!?




――し、詩月さん!?



リーダー昴は詩月の言葉の意味を理解できないでいるようだ。



――だ・か・ら、弾いてもいいって言ってるんだ。

即興でも何でも持ち時間分、きっちり弾く




――あ、あの……



――鈍いな~、昴。

明日、事務所に行って話をする。

どのみち、君たちに決定権はないんだろ!?




電話の向こうがざわついている。




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