風の詩ーー君に届け
――詩月さんって存外、即決タイプ?

白黒はっきりしなきゃキライな人?

見かけによらず熱い性格なんだね。

YOU TUBEの画像も惚れ惚れしちゃったよ〜




詩月は、このチャラいのは、恐らく体育会系の遥だと顔を思い浮かべる。





――頑固オヤジは嫌いではないし、七夕に弾きたい曲がある。




詩月は郁子の言葉を思い出す。




――それって、あのきれいな彼女、緒方さんへの告白!?




胸の高鳴りと顔の火照りを覚えて、詩月は何だと思う。





――違う。


慌てて即答する。



緒方には安坂さんがいる。

詩月は言葉を飲み込む。




――何だ、残念だな〜




――チャラいな。危機感はないのか?

ヘラヘラしている場合か。



詩月はプツリと電話を切り、スマホを閉じる。



アイドルも大変だなと思い、ヴァイオリンを手に取り十数回振ってみる。



白米が2粒、音もなくf字孔から屑箱に落ちた。



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