風の詩ーー君に届け
電車の中吊りには、相変わらず派手な見出しで三流記事が宣伝されていた。



詩月は早く着かないか、そればかりを考えていた。



ビルのインフォメーションで学生証を提示し、アポは取ってある旨を伝え、返事を待つ。



冷房の効きすぎた屋内は、肌寒いくらいに冷えている。



冷房対策用に持ち歩いている薄手のパーカーに、サッと袖を通して十数分。



ハイヒールを鳴らしXceon(エクシオン)のマネージャーが、現れた。



「周桜くん、待たせたわね。

会議が長引いて……」



マネージャーはすまなさそうに言いながら、詩月を事務所へ案内する。



リーダー昴からの情報よりも、頑固親父らしいスポンサーを説得するのにかなり苦戦している様子が、疲れた顔から窺える。




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