風の詩ーー君に届け
ハイヒールながら歩く速度が半端ない。



１秒でも惜しい、歩く速度が物語っている。



詩月は歩調を合わせて後ろを歩き、エレベーターの中で喘ぐように呼吸を整える。



「大丈夫？」



マネージャーは、詩月の腕に手を添え、詩月の顔を覗きこむ。



「……すみません」



「『週間FACE』の記事、本当なのね。

それにあの画像……正直、驚いたわ」



「……記事に関しては謝罪文が出るそうです。

もしかして……あの記事が今回の!?」



「察しがいいわね。

関係がないとは言えないわ」



エレベーターを出て、マネージャーは歩く速度を落とし、詩月を気遣いながら歩く。



「でも、あの記事はXceon(ｴｸｼｵﾝ)にとってマイナスイメージではなかった……寧ろ逆」


マネージャーが詩月を振り返り、声のトーンを抑えて言う。


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