風の詩ーー君に届け
「Xceon(エクシオン)人気は上がっているわ」



――なぜ


呟いた詩月の言葉は、声にならない。



「同情、憐れみ、それに……わかっているはずよ」



立ち止まり唖然としている詩月を見上げ、マネージャーが冷たく言い放つ。



「あのCMもポスターも、あの子達には言えないけれど……あなたのオーラの方が優ってるのよ。

貼る側から剥がされるポスターも、あの子達目当てではなく……あなた」



詩月は立ち尽くし身動ぎもせず、マネージャーの顔を見つめる。



「スポンサーは勘違いをしているのではないの。

あなたを山車(だし)にして、話題性や利益がほしいの。

あなたの記事も含めて、Xceon(エクシオン)より商品価値があるし、利用価値もあると判断したの。

だから、私はあの子たちに口止めをしたの。

あの子達に気づいてほしくないし、傷つけたくないから」



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